日本三大桜のひとつ、三春滝桜(みはるたきざくら)。
福島県三春町にある大きなしだれ桜です。
日本三大桜としてはほかにも山高神代桜(山梨県北杜市)、根尾谷淡墨桜(岐阜県本巣市)がありますが、三春滝桜は最もポピュラーな桜として人気を集めています。
今回は、そんな日本三大桜のひとつ、三春滝桜がテーマです。
三春滝桜の楽しみ方や2017年の開花日・満開日、アクセスについて解説します。
三春滝桜の知られざる歴史についてもご紹介します。
美しすぎる!福島県三春町の三春滝桜
福島県の田村郡に位置する三春町には、2017年の今年も、1万本のしだれ桜が咲き誇っています。
そのなかでも三春滝桜(みはるたきざくら)と呼ばれる巨木は、日本三大桜として認定されています。
大正11年10月12日には、「三春滝ザクラ」として国の天然記念物に指定されました。
三春滝桜は由緒ある桜の銘木なのです。
品種は江戸彼岸(えどひがん)系の紅枝垂桜(べにしだれざくら)です。
樹高は13.5メートルもあり、まるで花びらが空からこぼれ落ちているかのよう。
枝張りは、幹のほうから北側へ5.5メートル、東側へは11.0メートル、南側へは14.5メートル、西側へは14メートル。
ぐるっと桜のまわりを一周できるほどの大きさです。
その姿は滝桜の名にふさわしく、薄紅の花びらは眺めるひとをうっとりとさせます。
その巨木からは見事な薄紅色の花びらが咲き匂います。
夜にはライトアップもあり、夜桜の美しさはたいへんな評判があります。
午後18時から22時までがライトアップ時間となっていますので、夜桜を存分に楽しむことができます。
「さくらの公園」も花見の名所
また、三春滝桜の近くには「さくらの公園」でお花見をすることができます。
なんと2300本以上もの桜が咲き乱れています。
三春町には、そのほかにもいくつもの銘木があり、お花見の名所となっています。
「日本さくら名所100選」にも選ばれるなど、三春町のしだれ桜の美しさはお墨付きです。
町全体が桜の名所だと言ってよいくらい、いたるところで美しい桜の数々を楽しむことができます。
その他の観光スポットなどは、三春町の公式ページをご覧ください。
アクセス
所在地は福島県田村郡三春町大字滝字桜久保296番地です。
・電車の場合
JR磐越東線の三春駅から8キロほど離れていますので、三春駅から発車する有料シャトルバスを利用しましょう。
・車の場合
磐越自動車道の船引三春ICからおよそ7.3キロで到着します。
郡山東ICからだと12.6キロです。
花見場所の付近に有料駐車場がありますので、そちらを利用しましょう。
ただし渋滞のおそれがありますので、公共機関やタクシー、宿泊施設の利用も検討するとよいでしょう。
料金について
観覧には料金がかかります。大人は300円、中学生以下は無料になっています。
駐車場は無料ですので、駐車時間を気にする必要はありません。
開花日・満開日は?
日本で一番うつくしい桜の名所で、一番満開の日にお花見ができるのが一番の贅沢。
日本三大桜を楽しむなら、まずは開花日と満開日をチェックすることが大切です。
>>現在の三春滝桜の様子がこちらのサイトのライブカメラからご覧になれます!
2017年の三春滝桜の開花日と満開日は、このようになっています。
開花日: 4月14日
満開日: 4月19日
しだれ桜はソメイヨシノよりも遅咲きですので、4月中旬から下旬が見ごろです。
お花見に行く場合には、開花日と満開日にあわせてしっかりとスケジュールを立てましょう。
見ごろを逃すととてももったいないです。
去年の開花日と満開日をみてみると、三春滝桜は4月4日に開花、4月10日に満開でした。
今年は少し遅めの開花が予想されますので、去年とはスケジュールをずらしたほうがよさそうです。
江戸の歌人を魅了した三春滝桜
出典:g05067.html.xdomain.jp/yw7891.html
三春滝桜の周辺の遊歩道には、江戸時代の和歌が飾られています。
三春滝桜の樹齢は、千年を超えると推定されています。
長い年月を咲き続ける三春滝桜には、数々の知られざる歴史があるのです。
そのむかし、江戸時代後期に加茂季鷹(かものすえたか)という歌人がいました。
国学者、古典学者でもあり、数々の聡明な歌を残しています。
宝暦4年(1754年)2月6日に京都に生まれ、その後天保12年(1841年)の10月9日に亡くなりました。
生涯を狂歌と書に捧げ、「正誤仮名遣」、「万葉類句」、「雲錦翁家集」などの著作があります。
賀茂社に仕え正四位下安房守となりながらも、当時の文人たちとも交遊し多くの歌を残しています。
当時、三春滝桜は三春藩主の御用木として保護されていました。
そんな加茂季鷹による三春滝桜を詠った歌があります。
陸奥にみちたるのみか四方八方にひゝき渡れる滝さくらかも
滝のように満ち溢れる江戸のしだれ桜の姿が、当時のまま2017年にもよみがえってくるかのような歌です。
遊歩道のコンクリートに飾られているのは、この歌なのです。
遊歩道に飾られる数々の和歌
加茂季鷹の歌とともに、いくつかの江戸時代後期の歌が遊歩道に表示されています。
名に高き三春の里の滝桜そらにもつゝく花の白波
花山院 右大将家厚(花山院家厚:1789年生、1866年没)春海に落ちて匂へる滝桜をとなきものゝ音にこそ聞け
千種正三位 有功(千種有功:1796年生、1854年没)流れての世々に其名もいはゝしるたきつ桜の花はしらしも
清水谷 権中将公正(清水谷公正:1809年生、1883年没)滝つ瀬の名に流れたる桜花とほき耳にとゝろきにけり
野宮 宰相中将定祥(野宮定祥:1800生、1858年没)都まで音に聞こえし滝桜いろ香を誘へ花の春風
大炊御門 前内大臣 経久(大炊御門経久:1781年生、1859年)
春風に吹かれながら咲き匂う滝桜が、青々とした天から降り注いでくる情景が浮かんできます。
江戸時代当時から名高い銘木として言い伝えられてきたことを、これらの歌からうかがい知ることができます。
後世にこの三春滝桜の美しさを残し続けていきたいものですね。
また皇居新宮殿の正殿には、橋本明治画伯による杉戸絵「櫻」が壁に飾られています。
この絵は三春滝桜を描いたものとして有名です。
三春町の滝桜は、日本の文化と芸術に大きな力を与えてきたのです。
放射能は大丈夫?
2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故を受けて、三春町のお花見観光客は激減してしまいました。
三春町は、東京電力に対して逸失利益の損害賠償を求めるなどしています。
放射能汚染が気になる方は、必ず三春町の公式ページ等の最新の測定データを参考にしてください。
まとめ
日本三大桜のひとつ、三春滝桜は最も有名なしだれ桜です。夜桜の美しさももちろん大好評です。
薄紅色をしたしだれ桜の花びらは、千年の時を越えて、見る人を魅了してきました。
日本の文化の歴史に、桜はなくてはならないもの。
和歌にもその美しさが残されていて、当時の風景をそのまま伝えてくれています。
三春滝桜は千年過ぎた2017年の今もなお、普遍の美しさを誇示するかのようです。